『限りなく透明に近いブルー』
「ティファニーで朝食を」とは訳が違いますよ。
衝撃的なタイトルですみません。訂正される前はそうだったようなので・・・。
改めまして「限りなく透明に近いブルー」です。
限りなく透明に近いブルー (講談社文庫 (1978/12/19) 村上 龍 商品詳細を見る |
高校生の頃、学校帰りに寄っていた古本屋。
別に文学少女でもなかった私ですが、有名な村上氏に興味はありました。
古本屋では、常に(アイウエオ順で)春樹さんと龍さんが横に並べられていたんですねぇ。
村上春樹氏の本は、どれもあまり本を読まない私には難しく
いつか大人になったらわかる日が来る・・・と諦めました 汗
龍氏の「限りなく~」このタイトルは知ってたものの、
裏表紙のあらすじ書きを読んで、「これを読んだら破滅しそう・・・」と
まだ感受性の高かった高校生の私は、妥当?な「ラブ&ポップ」に手を出しました。
ラブ&ポップ―トパーズ〈2〉 (幻冬舎文庫) (1997/12) 村上 龍 商品詳細を見る |
いやぁ、おかげで援助交際に手を出さずにすんだよ 笑
まず20歳で書き始め、23歳で文学賞に応募。
実体験なのかな、だったらラリった頭でこの文を書くなら天才だろ。
逆にやってないのに書けるなら、すごい想像力。
どちらにしてもすごすぎる。
あまり本を読んでる方ではありませんが、
「若くして売れた方」の話題になった作品を何点か読んでみて思った共通点。
そういった方々は確かに文才はあると思いますが、なんかわざとらしいというか
子供が無理して大人の真似して難しい言い回ししたみたいな、
読み手が素直に受け取れない表現もあったり。
何度も同じ比喩の仕方を使ったりとか(踵を返すが10回くらい出てきたり 笑)。
でも、自分が読む限りこの作品に、わざとらしさも、嫌味もない。
酒・暴力・ドラッグ・セックスの無茶苦茶な世界感に、ひきずりこまれた。
自分とはかけ離れた世界なのに、スラスラと心地よく読み進めた。
(途中、ドロドロした場面もありますが・・・ 汗)
セックスなんて甘っちょろいもんじゃない。
まさに「ヤる」。
凄まじい時代だったんだな。
主人公リュウは、暴力や、人を傷つけることはしない。
人当たり良く、優しい。
誰より冷静に、客観的に周り(現実)を見ている。
愛とか、嬉しい、悲しい、そういう表現がまったくない。
友達?の声は音と同じように耳に入るだけ。
腐ったものの臭いを嗅いでも、「気持ち悪い」という感情はなく、吐き気が表れるだけ。
その無関心さが誰より暴力的で、やさしさが冷たさでもある。
「限りなく透明に近いブルー」は、腕に刺したガラスの破片の色。
薬に溺れてしまった彼は、血を流すことでしか、生きてる証拠を見出せなかったのかも。
***余談***
関係ない話ですが、なんか、高校のときに好きだった人を思い出してしまいました。
いや、別に彼がヤク中だったわけじゃありませんよ~
優しくて、皆に好かれていて、でも孤独で、どこか醒めてました。
彼がこの時代に生きてたら・・・こんなんだったんでしょうか。
今、元気にしてるでしょうか。
また、村上氏の作品読みたくなりました~
私には、合ってると思います
・・・虫を口に入れる描写はナシでお願いします!
- 関連記事
-
- 『アヒルと鴨のコインロッカー』
- 『パレード』
- 『限りなく透明に近いブルー』
- 『西の魔女が死んだ』
- 『ララピポ』